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山崎の続き なんなのあの人! 十二時に公園て言ったのはあの人なのに来ないじゃない ![]() すっぽかされたのはあたし!? もう馬鹿みたい。 まあ来ないならそれで助かったけど、散々振り回されてなんかムカつく。 帰ろうかと思った時――こちらにのんびり向かってくる総悟さんが見えた。 ――チョット ![]() 普通待ってるのが見えたら急いで来るそぶりくらいしない!? 「すいやせん。待たせやしたかね」 棒読みだし全然悪いと思ってない。 「待ちましたッ」 わざと強い口調であたしは言った。 「怒ってるんですかィ? 怒った顔もカワイイですねィ」 不愉快だ。可愛いと言われても嬉しくない。 「いつもと変わりやせんね。めかし込んできてくれなかったんですかィ」 誰がアンタなんかのために。 「弥生は元がカワイイからいーでさァ。待たせた詫びに楽しませて満足させてあげやすからねィ」 総悟さんはあたしの手を握ると引き返してく。 ――あれ、チョット? 「どこ行くんですか? 芝生でお昼寝するんじゃ」 「何言ってんでィ。真っ昼間からそこじゃーいくら俺でも気が引けまさァ」 ―― ハイ!? 何言ってるの?総悟さんに強引にあたしは引きずられてく。 その時―― 「沖田隊長ォォォ!!」 どこからともなくミントンのラケットを手にした退さんが現れて、どこからともなくバズーカを手にした総悟さんが振り向いて発砲する。 ものすごい爆音がして退さんはもろに巻き込まれた。 ――え、あの、大丈夫かな…… ![]() 「フゥ、またつまんねーモン爆破しちまったぜ」 総悟さんはあたしに振り向いて手を握る。 「邪魔者ァあの世に逝きやした。俺達ァ愛の世界にイキやしょう」 ―― 死んじゃったの!?そんな事ないよね。無事だよね? あたしは口笛を吹く総悟さんに手を引かれながら爆煙が残る公園を振り返った。 手を引かれるままあたしはドンドン知らない通りに入ってく。 気づけばそこは怪しい看板の立ち並ぶ昼間でも怪しげな通り。 ……まさかここ、ラブホテル? 嘘、ここに入る気なの? 「どこでも好きなとこ選びなせェ弥生」 入る気だ ![]() 一気に冷や汗が流れる。 ――やだよ。入ったら最後な気がする。 あたしが黙ってると総悟さんは言う。 「決めらんねーなら俺が決めやすぜ。ここにしやしょう」 ――早ッ。 男の人ってどこでもいいんだね。――いやそうじゃないでしょ! ねぇあたし、最近思うんだけどなんかキャラ変わってない? ツッコミキャラになってない?――って今そんな事どうでもいいから! 操がピンチだからァァ。 助けて―― 「ちょっとそこのお巡りさん。真っ昼間から不純異性交遊ですか、発情期ですかコノヤロー」 ――この声は。 「……万事屋の旦那」 「銀さん」 そこに居たのは紛れもなく銀さんだった。 「旦那こそ何してんでィ。一発抜いてきたとこですかィ」 「バカヤロー発情期のガキと一緒にすな。銀さんは愛のヒーローだからね、弥生がピンチの時には現れんの。そういう設定なの」 「へーそれならさしずめ俺ァ敵対する悪の組織の一員てとこですかねェ」 総悟さんが銀さんに向けてバズーカを発砲した。 爆音がして炎で見えなくなった銀さんは煙から勢い良く現れると木刀でバズーカを斬り裂いた。 総悟さんは尻もちを付く。 「――……ヘヘ、旦那には敵わねーや」 「当たりめぇだ。ガキにやられるほど落ちちゃいねぇんだよ」 総悟さんを見据えて木刀を腰に戻した銀さんはいつもと違って―― 目がりりしくて。 すごく、カッコよかった。 あたしの鼓動が高鳴る。 ドキドキしてるのを感じる。 顔が熱くて――あたし、銀さんにときめいてる? 「総一郎君よぉ、二度と俺の弥生にこんな真似しねぇでくれよな。またあった時はただじゃおかねぇぜ」 銀さんの眼光が鋭くなって総悟さんはゾクッとしたようだ。 「ハハ……おっかねーお人だ」 「行くぜ弥生」 銀さんに手を握られた。 「うん」 あたしは銀さんと並んで歩き出した。 「銀さん、ありがとう」 「んー?」 「助けに来てくれて」 「ったりめぇじゃねぇか。銀さんは弥生の愛のヒーローなんだから」 昨日銀さんから電話があってあたしは全部話したんだ。 本当に助けに来てくれるなんて。 「銀さんすごくカッコよかったよ」 「マジでかっ? 何っ? 俺に惚れ直しちゃった?」 あら、いつもの銀さんに戻っちゃった。 ――でも、そんな銀さんも好きだよ。 「なぁ弥生よぉー。銀さんは愛のヒーローだけど、もうこんなんはこりごりだぜ」 「……うん」 そうだよね。いつも銀さんに助けてもらう訳にいかない。 「ウチに住めよ」 「――え?」 銀さんが何を言ってるのかわからなかった。 「お前が危険な目に遭うのが耐えらんねぇんだよ。逢ってねぇ時いつもお前のこと考えちまってる。心配でたまらねぇんだ。だから銀さんの目の届く範囲にいて欲しい」 「銀さん……」 「弥生、駄目か?」 銀さんのあたしを見つめる目は、愁いを帯びていて。 あたしは――傍にいたいと思った。 「ううん」 「マジでか?」 「銀さん、これからよろしくお願いします」 「弥生」 お辞儀してると銀さんに抱きしめられた。 あたしと銀さんは真選組の屯所を訪れて、あたしを危険な目に遭わせたお詫びをしろと銀さんが土方さんに言ってパトカーを出してもらえる事になった。 初めてパトカーに乗ったあたしは緊張したけど、無事だった退さんに運転してもらってアパートへ向かうと荷物を運び出して引き払った。 ――てか退さんアフロなんですけど!? 荷物を乗せたパトカーで万事屋へ向かった。元々荷物が少ないから引っ越しはすぐ終わった。 そして銀さんが神楽ちゃんと新八君を説得して、あたしは万事屋で暮らす事になった―― |
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