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翌日 いつもみたいに目覚ましの鳴る前に目が覚めた。 でも、目の前の光景はいつもと違う。 それに、体が動かない。 ――え、何これ。 左頬が、何かに触れてる。 そして微かに聞こえる規則正しい寝息。 ――そうだ、あたし昨日銀さんの万事屋に。 って事は銀さん? そう。あたしは銀さんに抱きしめられる形で腕の中にいた。 「――ちょ、銀さん。銀さんっ」 目覚めたばかりの頭がパニックになって顔が熱くなる。 「……んー何、どしたの」 銀さんが目を覚ました。 「……おー弥生。はよ」 寝ぼけた声で囁かれて、あたしは頬にキスされた。 ――チョットもうっ、朝から刺激強すぎっ。 「お、おはよう銀さん」 「……今何時?」 「うん、時計見るから離してくれない?」 銀さんに抱きしめられてるから起き上がれないんだ。 離してもらってあたしは起き上がると枕元の時計を見る。 「もうすぐ六時」 「んだよまだ早ぇじゃん。も少し寝よ」 「ダメだよ、あたしバイトだし。朝ご飯作らなきゃ。銀さんはゆっくり寝ててね」 「……んー銀さん低血圧だから朝弱くてさ。も少し寝るわ」 あたしは和室を出ると朝食を用意して、一人で済ませると身支度を整えた。 ここから大江戸ストアまでは歩いて大体三十分程。 そろそろ出ようかなと思った時――銀さんがボーっとした顔で起きてきた。 「あれ、弥生行くの?」 「うん、そろそろ行かないと遅刻しちゃうから」 「待てって。銀さんが送ってくから」 「え、送ってくれるの?」 「当たり前だろ。これから毎日送り迎えするよ」 銀さんの言葉が嬉しくて、あたしは感動しちゃった。 でも、そんなの悪いし。 「ううん大丈夫。でも嬉しかった。ありがとう銀さん」 「ここからじゃあそこまで遠いだろ。銀さんの愛車で送ってくから待ってろよ」 銀さんの愛車ってスクーターだよね。 パフェ食べ行った時とか何度か乗せてもらった事がある。 そっか。助かるかも。 スクーターに二人乗りして銀さんに店まで送ってもらった。あがりの頃迎えに来るって言ってくれた。 銀さんの優しさが身に染みました。 あたしも銀さんのために家事とか色々頑張ろうと思います。あれ? 作文? 「弥生」 店内で品出ししていたあたしは名前を呼ばれて振り向くと居たのは総悟さんだった。 条件反射で体が竦む。 ……でも、あれ? いつもなら目隠しとかしてくるのに声をかけるなんて。 それに、様子が変。 なんだか元気がないような? 「すいやせんでした」 いきなり総悟さんが頭を下げてきた。 「反省したんでさァ。俺、弥生に迷惑ばかりかけちまって」 「総悟さん?」 「俺、弥生に嫌われちまいやしたよねィ」 確かに悪戯ばかりする総悟さんは嫌いだった。 でも、そう素直に謝られると。 「迷惑ならもー会いに来やせん。それを伝えに来たんでさァ」 「……嫌いなんかじゃありませんよ」 総悟さんは少し顔を上げて上目遣いであたしを見る。 「本当ですかィ?」 ――ちょ、待って。その顔可愛すぎ。 総悟さんて爽やか系のイケメンだけど女の子みたいに綺麗な顔だから。 「会いに来てもいーんですかィ?」 「はい。でももう悪戯はやめてくださいね」 「わかりやした」 とびきりの笑顔で総悟さんは答えた。 なんだかすごく素直で拍子抜けする。 それに、そんな笑顔も出来るんじゃない。 始めからそうなら良かったのに。 そしたら――あたし好きになってたかもよ。 この時はそう思ったけど前言撤回じゃー と思うのは、もう少し先の事―― |
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