銀魂 夢小説*弥生の華*

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help リーダーに追加 RSS 〜土方〜31

<<   作成日時 : 2008/05/13 12:13   >>

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 某日





 あれからも仕事のはかどらねェ日々が続いている。



 近藤さんには「疲れてるんじゃないか」と心配されるし、総悟には「そんなんじゃ俺が副長の座いただくぜ」とバズーカをブッ放されるし。





 どうしちまったんだ俺は……



 何度目かわからねェため息が漏れる。





 近藤さんが言ったアイツがミツバに似てるってのは確かだ。



 初めて声を聞いた時――フワリとした笑顔――





 アイツの言動が俺を惑わす

 アイツが俺の中でドンドンでかくなっていきやがる





 愛なんてただの幻想だと思っていた。



 そんな感情は一時的に過ぎないものだと。



 男女の関係など後腐れないものでいい。



 だがそれは――武州に置いてきたミツバへ対する自分の戒めかもしれねェ。





「公共の場汚さないでくれます? お巡りさん」



 聞こえた声に顔を上げれば万事屋が居た。



 俺は奴の気配を感じられねェ程気が抜けていたのか。

 鬼の副長が情けねェ。



「悪かったな」



 足元に散らかった吸い殻を俺は拾って携帯灰皿に詰める。



 万事屋は隣のベンチに腰掛けた。



「真面目な鬼の副長がおサボリですか」



 ……そう思われても仕方ねェ。もう長ェ事ベンチに居る。



 気分転換にと公園に来た。

 部屋にこもっててもモヤモヤすんだよ。



「なぁ暇なら聞いてくれる? いや暇じゃなくても聞いて欲しいんだけど」



 テンション上げて奴が言ってきた。



「弥生ってすんげぇ料理上手くてさ。毎日毎日手の込んだ料理作ってくれるし俺幸せ太りしそうだよ。家事もソツなくこなしてくれるしぃー。カワイイしぃー



 ムカつくノロケかよ



「そのまま肥えて死んじまえ」

「え、何? 多串君ヤキモチ? 悔しかったら多串君も結婚すれば。いつも瞳孔開いてるようじゃ怖がって女寄ってこねぇだろうけど」



 含み笑いをする奴に俺は怒りが込み上げる。

 不愉快だ



 俺は立ち上がって歩き出した。



「なぁ、食い来る?」



 奴の言葉に俺は振り返る。



「ハ? 何」

「弥生の手料理」

「……なんで」

「いつもマヨばっか食って飯の美味さ知らねぇだろ。ウチ食い来いよ。銀さん心広いから構わねぇぜ。言っとくけどマヨぜってぇ禁止だかんな」



 俺は口角を上げて言う。



「上等だ。マヨなしで食ってやらァ」



 奴がフッと笑った。



 振り返って俺は歩き出す。





 モヤモヤが晴れて清々しい気分になった





 今なら一気に仕事を片付けられる気がする。




















 思った通り仕事は進んだ。





 見切りをつけて俺は万事屋を訪ねた。



「おー来たか多串君」



 ソファーに偉そうに腰掛けている万事屋。



 家の中は良い匂いで包まれて、テーブルには料理が沢山並んでいる。



 スゲェ。これ全部弥生が作ったのか



 屯所の飯は単品か、あって五品だ。こんなに沢山の料理を一度に目にするのは、宴会やらそんな時くらいだろう。

 それも一つ一つ本当に手が込んでいる。彩りも綺麗だ。



「土方さん、いらっしゃい」

「お、おう」



 弥生が笑顔で迎えてくれた。

 その笑顔に俺はまた打ちのめされる。



「本当にマヨ来たアルな。タダ飯食おうとは図々しい奴アル」



 チャイナ娘が冷めた声で言う。



「土産持ってきた」

「何アルか」

「団子だ」

「あの甘味処のかっ! 私大好きネ」



 持っていた袋をチャイナ娘に引ったくられた。



「テメェにじゃねェッ!! それは弥生に…」



 ハッとして顔が熱くなる。



「俺の嫁さんに土産どうもね多串君」



 嫁さんの部分を強調しやがって。



「私も食べていーアルか弥生」

「あ、うん。みんなで食べよ。土方さん、ありがとうございます」

「いや」

「どうぞ、座ってください」

「銀さんの隣は弥生さんですから狭いですけどこちらで」



 眼鏡に言われて俺はチャイナ娘の隣に座った。



 弥生と眼鏡はテーブルの傍らで炊飯器から白飯を茶碗によそう。



「はい銀さん」

「ありがとう弥生っ



 語尾にがついてやがるな。締まりのねェ面しやがって。



「土方さん、これくらいでよろしいですか?」



 弥生が白飯をよそった茶碗を俺に差し出した。



「ああ、サンキュ」

「おかわりありますから言ってくださいね」



 ――やめてくれ。



 その笑顔を見ると心臓が跳ねるんだ



 くそ、また顔が熱くなって動悸がする。





 眼鏡はチャイナ娘に昔話に出てくるみたいな高く盛られた白飯を渡していた。



 そして弥生と眼鏡も自分の分をよそってソファーに座る。



「「「いただきまーす」」」



 各々が料理を摘んで食う。



 いつもは個人で配膳された飯を食うだけだ。



 ……こういうのも、いいものだな。



 俺は料理を口に運ぶ。



 美味い

 マヨ無しでも全然いける。



「弥生弥生それ銀さんにアーンしてっ

「え、これ?」



 テーブルを挟んだ向こう側で万事屋が弥生に向かって口を開けている。



 弥生は食いかけの揚げ物を万事屋の口に入れた。



「ん〜美味いっ弥生が食べさせてくれると倍美味いっ



 満面の笑みの万事屋。



「……いつ見てもキショイアル」

「慣れませんね」



 手を止めてチャイナ娘と眼鏡が言った。





 コイツらガキの前でいつもこんな事してんのか




















 食後の熱い茶を口にして俺は一服しようとつい癖で煙草を取り出しちまってハッとする。

 ガキがいるし控えよう。



 万事屋はソファーに寝転がってジャンプを読んでやがる。



 いいご身分だなオイ。いつもこんな感じなのか。

 ジャンプなのも気に食わねェ。俺はマガジン派だ



「マヨまだいるアルか。食ったならさっさと帰るヨロシ」

「え、多串君まだいたの



 ジャンプを伏せて万事屋が言った。



「帰るよ」



 俺は茶を飲み干すと湯のみを持って台所で食器を洗っている弥生に向かう。



「弥生」



 声をかけると弥生は手を止めて振り向いた。



「ごっそさん」

「土方さん。置いといてくださってよかったのに」

「あ」



 弥生はエプロンで濡れた手を拭くと俺から湯のみを受け取る。

 冷たい手が触れて俺はまた心臓が跳ねた。



「ごめんなさい」

「いや」



 静まれ俺の心臓。



「飯、美味かった」

「本当ですか? お口に合ってよかったです。またいつでもいらしてくださいね」

「ああ」

「弥生ダメヨ。そんなこと言ったら毎日来るネ。おかず減って迷惑アル



 来ねェよ。



「神楽ちゃんの方が迷惑だよ。ほとんど一人で食べちゃうんだから」

「食事は戦争ヨ。弱ェ奴は食う資格ないネ。草でも食ってるヨロシ」

「ちょっと何その差別的言い方」



 チャイナ娘と眼鏡が言い合ってるが無視する。



「じゃあ俺帰るな」



 弥生に見送ってもらって俺は万事屋を後にした。



 日が沈みかけて暗くなり始めた人通りもまばらな通りを煙草を吸いながら歩く。





 また俺の中で弥生の存在がでかくなった



 この気持ちはもう――――










 恋だ










 よりによって、万事屋の女

 ハッ、可笑しくて笑えてくる。





 煙草を思い切り吸い込んで深く吐いた。




















 普段は気にも留めない呉服屋のショーウィンドーが目に入って足を止める。



 照明に照らされた真紅の着物



 見る角度で色の変わる糸で花が刺繍されている。

 艶やかで美しい。





 すぐ袖を通すに相応しい女が浮かんだ――



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