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弥生の続き 「銀さん、銀さん開けますよー」 んだようるせぇな。静かに寝かせてくれよ。 俺の傷ついたハートは一日寝たくらいじゃ治んねんだよ。 ――なんて俺の心の声も虚しく襖を開けて新八と神楽が入ってきた。 「今銀さんの大好きな弥生さんが来て…」 「何ィィイッ!!?」 俺は思わず飛び起きた。 「弥生が来たってェェエッ!?」 「はい。これを銀さんにって」 新八が持っていたビニール袋を置いた。 俺の好きな甘味や菓子が沢山入ってる。 なんでこんなのを弥生が…… 「で、弥生は?」 「帰りましたよ。また来ますって」 「銀ちゃん、すごい綺麗な人アルな」 神楽がニヤニヤして言う。 当たりめぇだ銀さんが惚れるくらいなんだから。――ってそうじゃなくて帰ったって!? 「バカヤローッ!! なんで入れねぇんだよッ!!」 「だって銀ちゃん誰来ても追い返せって言ったアル」 「弥生はいんだよ俺の特別なのッ!! スイートハニー なのッ!! 空気よめッ!!」俺は部屋を飛び出した。 「そんなのわかりませんよ」 「銀ちゃんワガママアル」 寝間着の甚平のままだが、んなのどうでもいい。 弥生に逢いたい。弥生の顔が見たい。 家を出て階段を駆け下りると、まさしく俺の天使――弥生の後ろ姿が見えた。 「弥生っ!!」 声をかけると弥生が振り返って俺は抱きしめてた。 抱きしめたのは初めてだ。 すっげぇ良い匂いがする。 コロン? シャンプーの香りかわかんねぇけど、俺の好きな匂い。 それに柔らかい。 「えっ、あの、銀さん!?」 弥生の戸惑う声が聞こえる。 「俺に逢いに来たんだって?」 「あ、はい。あの…」 「何も言うな。すっげぇ嬉しい」 弥生の言葉をさえぎって俺は抱きしめる腕に力を込めた。 上から神楽と新八が見てたなんて構わず、往来する町人が見てるのも構わずしばらく弥生を抱きしめてた。 絶対に入ってくんじゃねぇぞと神楽と新八に忠告して、俺は布団を敷きっぱなしの部屋に弥生を通した。 「弥生、変なことされたら叫ぶアルヨ」 「すぐ駆けつけますから」 神楽と新八が言ったが俺は構わず襖を閉めた。 向こうで聞き耳立ててそうだが放っとく。 今はやましい事なんて考えてねぇし。今はね。 「あの、銀さん……」 「ん?」 「昨日は、その……嘘ついちゃってごめんなさい」 弥生が頭を下げてきた。 確かに嘘だったけど、なんでバラしてんだ? 「オイ、それ銀さんに言ったら駄目だろ」 「え、だって……見たんでしょ?」 顔を上げた弥生にドキッとして冷や汗が流れる ![]() 「…………なんで知ってんの?」 「土方さんから聞きました」 オイィィィ何言ってんの多串君!! 「……ま、アレだろ? 嘘ついたのはさ、ジミーのこと男として見てねぇからだろ?」 「え?」 「何も言うなわかってるって。アイツ女っぽいしな」 「……あの、許してくれる?」 しおらしい弥生に俺のハートはキューンとした ![]() チクショー可愛いなー。 とっくに許してるに決まってんじゃねぇかコノヤロー ![]() でも悔しいから意地悪しちゃおっかなー銀さんSだしね。 「許してほしいの?」 黙って弥生はうなずいた。 「じゃあキスして」 「――えっ!?」 弥生が赤くなった。 「許してほしいならキスしてよ。もちろんここ」 俺は唇を指差した。 赤いままうつむく弥生。 内心ドキドキもんだ。だってやだって言われたらどうしよう ![]() それこそ立ち直れねぇかも ![]() 「……わかった」 「マジでか」 顔を上げると弥生はゆっくり近づいてきた。 赤い顔で瞳はうるんでる。 ――ヤベッ、そんな顔されたら銀さん狼になっちゃうよ!? キスどころじゃ済まねぇよ!? 「ま、待った!」 弥生が止まった。 「もうとっくに許してるよ」 「そうなの?」 「それにこんなやり方でキスしても、さ。弥生他の男にも言われたらキスするだろ」 黙り込んだ弥生にやっぱそうなんだと思う。 「駄目だかんな絶対ッ! そんなの銀さん許しませんッ」 「…………銀さんてお父さんみたい」 「――ぬあッ!?」 ポツリと言われた弥生の言葉が胸に刺さった。 ―― おおおお父さん!?神楽なら言われてもいいけど、弥生だとめっさショックだ ![]() 俺って男として見られてねぇって事? あれ、なんか急に前が霞んで―― 自然と涙が流れた。 |
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